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Izmic Be STUDIO スタジオデータ

Izmic Be STUDIO
(イヅミックビースタジオ)

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10:00~22:00 / 年中無休

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スクール生徒の声

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ほっと一息つきたい時にオススメ!鑑賞レポート

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年内の入試が近づいてきて、ゆっくり休める時がなかったMさん。
そんな時ふと目に入ってきた本に、惚れてしまったようですよ。

『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』鑑賞レポート

◆著者紹介

著者の標野凪(しめのなぎ)は、福岡で開業し、現在は東京都内で小さなお店を切り盛りしている現役カフェ店主でもある。
2018年「第1回おいしい文学賞」にて最終候補となり、2019年に『終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ』でデビュー。
他の著書に『占い日本茶カフェ 迷い猫』『本のない、絵本屋クッタラ おいしいスープ、置いてます。』『伝言猫がカフェにいます』などがある。

◆本の概要

住宅地の奥でひっそりと営業しているおひとり様専用カフェ「喫茶店ドードー」。
この喫茶店には、目まぐるしく変わる毎日からちょこっと逃げ出したくなったお客さんがふらりと訪れる。
本作は、そんなお客さんの疲れた体と強ばった心を、店主である「そろり」の美味しい料理が優しくほぐしていく物語である。
プロローグ+5つの短編で構成されており、本自体も薄いため、長い小説を読むのが苦手な人にもおすすめな作品となっている。

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特に好きな話トップ3


①自己肯定力をあげるやかんコーヒー

この話では、翻訳の仕事をしている小橋可絵(こばしかえ)がお店に訪れる。
彼女は、SNS上で最近話題になっている「#ていねいな暮らし」という言葉に翻弄され、新しい商品を買っては失敗をし、何度も繰り返すうちにだんだんと自信を喪失させていた。
そんな中ふらりと訪れた喫茶ドードーにて、やかんコーヒーを飲む。
彼女に対し、そろりは小さくなった鉛筆を差し出しながら「あなたに必要なのはこれです。自分自身の芯を持つことです」という言葉をかける。

SNSが普及したことにより、誰もが自分の生活の1部を世に発信することが容易になった。
それは、さまざまな人の生活の知恵や、有益な情報をいとも簡単に学び取れるという便利な側面がある。
しかし、顔も知らない誰かの生活と自分の生活を比べ、劣等感や自己嫌悪を募らせる原因にもなりかねない。
かくいう私も、例えばクラスメイトの投稿やストーリーを見て「あの子はこんなにキラキラしているのに私は...」と悩むことがある。
そのため、この話の小橋可絵の悩みに深く共感でき、また、店主であるそろりの言葉にも胸を打たれた。
そろりの言うように、私にも「自分自身の芯を持つ」ことが大切なのかもしれない。
そうすることで、他人が放つキラキラにあてられて自分を悲観することなく、自分自身のために真摯に行動することができるのだ。
この話は、知らぬ間にSNSの波に溺れていた自分自身を見直す良い機会となった。

②心が雨の日のサンドイッチ

この話では、保育所も兼ねた幼児向け学習塾の講師をしている多加良世羅(たからせら)がお店に訪れる。
夫婦別姓を願う彼女は、同棲中の重田凌(しげたりょう)とは籍を入れずにいたが、周りの人達との考え方にギャップを感じ、結婚や家族のあり方について頭を悩ませていた。
とある出来事から家を飛び出した彼女は、安らぎを求めて喫茶ドードーに訪れ、3切れのサンドイッチを食べる。彼女に対し、そろりは小さなペンギンのフィギュアを差し出しながら「白黒つけない」という言葉をかける。

ここでの多加良世羅は、「対等」であることを重視し、愛する人とともに生活しながらも、自分の好きな仕事をしていたいと願っていた。
しかし、誰かと「対等」であるためには、自分のみを優先して「私」の考えを押し通すのではなく、周りの人の意見も取り入れて「私たち」の考えにまとめていく必要がある。
それを、彼女は見失いつつあったのだ。
私自身も、自分の考えが上手く相手に伝わらなくて、勝手にモヤモヤすることがあった。
しかし、もしかしたらそれは「自分の都合を押し通したいがために、相手への思いやりが欠如していたのではないか」と、今となってはそうも思う。
私もすぐに頭が固くなりがちな性分である。
白黒どちらも兼ね備えたペンギンのように、「どちらか」ではなく、「どちらも」という選択肢があることを改めて学んだ。

③自分をいたわる焼きマシュマロ

この話では、雑貨店で店長をしている緒川小夜子(おがわさよこ)がお店に訪れる。
緊急事態宣言が出された頃、元から少なめの店員が次々と体調不良や育児で仕事を休んでいった。
しかし、店長であるという責任感の強い彼女は、自分の体調不良を必死に隠しながら、休んだ店員の分まで働き続けていた。
限界に達した時、以前にも訪れた喫茶ドードーにて、七厘で焼くマシュマロを食べる。
彼女に対し、そろりはぎっしり詰まった本棚から一冊の本を取り出し、「心に隙間を」という言葉をかける。

緒川小夜子は店員が次々と休んでいく中、「自分は店長だから」と、他の人の手を借りずに全ての仕事を自分が請け負うことで解決しようとしていた。
その結果、自己犠牲を長いこと続け、自分の身が持たなくなってしまったのだ。
私自身も、誰かに助けを求めることは苦手であり、誰かの手を煩わせるくらいなら自分でなんとかしようと思ってしまう。
しかし、その行動をしたことで事態が悪化してしまったり、自分がストレスで押しつぶされてしまうことも多々あった。
「心に隙間を」持つためには、時には誰かに助けを求め、自分をいたわる時間を、自分のために作ってあげるということが大切なのだ。
私はこの話から、他人に助けを求めることの重要性を学んだ。

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最後に


今回紹介した本は、レポートを書くにあたって自分の本棚を探した時に、ちょうど目に付いたものである。
少し前に買っていたものの、買った当初も何かと時間が無く、まだ読めていなかったのだ。
入試準備に追われて心が荒んでいた私は、ヤマナカハルナが描くこの本の表紙の暖かさと、ゆったりとした時間の流れる「喫茶ドードー」にすっかり惚れ込んでしまった。
続編も発売されているので、それも買って読んでみようと思う。

この本の個人的な見どころとしては、細切れにされた5つの話を続けて読むと、とある仕掛けが隠されているところだ。
それを知った上でもう一度読むと、また見方が変わってくるだろう。
それは、実際に読んでみて確かめてほしいところだ。

私は、心が疲れてしまった人や、ほっと一息つきたい人にこの本を強くおすすめしたい。
少し寒くなってきたが、読書の秋として読んでみるのはどうだろうか。

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