お芝居の上手な役者の定義とはなんでしょう?
俗に言う「役になりきる」とは?
上手な役者さんを表すコトバで、「カメレオン俳優」と言いますね。
役者を目指す人なら、そんな風にどんな役でもリアルに演じられる役者になりたい
と思う人も多いと思います。
では、そんな風にリアルにどんな役でも演じられるようになるには、
どんなことが必要なのでしょうか?
役者が行う「役作り」
この役作りって、どんなことを行うのでしょうか?
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①役のことを知る <役のなりきり度30%>
役の情報を知るための手段は・・・
①台本・戯曲から
②演出家や監督から
③自分自身から
この3つからの角度から、役の情報を得ます。
こうして、自分の役について、
役に与えられた状況について考え、作り上げていきます。
まずは、台本にかいてあることが1番!
しかし、台本は小説ではないので、
結果の行動やセリフなど、目に見えるものしか書いていないのです。
だから、演出家や監督に教えていただいたり、
自分自身で考えていく必要があります。
ですが、情報を得て知るだけでは、役にはなりきれません
このままでは、あなたは「その役の大ファン」になっただけで、
「その役そのもの」にはなっていない感じだと思います
役が自分に浸透するまで、
役の人生が自分の人生と言えるようになるまで慣れ親しむことで、
本当に「役になりきる」といえるのです。
②与えられた状況を整理する <役のなりきり度50%>
①で情報を得たら、その役に与えられた状況を整理していきます。
具体的には、4Wを考えます!
この背景というのは、めちゃめちゃ重要です!
なぜなら・・・・理由は、
「感情は"考えてから"ではなく
"無意識に"湧き上がるもの」だからです。
それは、きっと日常生活でも同じ。
「私は、友達と別れて、横断歩道で手を振ったら泣こう」と考えて泣かないですよね?
友達が大きく手を振る姿、友達の顔、
今まで一緒に過ごしてきた思い出を思い出して、
横断歩道の向こう側に立つ姿、声、音など、いろんな状況を感じ、
自然と涙腺がゆるむものです。
では、お芝居ではどうでしょうか?
「感情をつくろう」「ここで泣こう」と、
頭で考えてしまうと、「緊張」「プライド」が生まれて、できなくなってしまいます。
つまり、役で感じているのではなく、
役でない本当の自分の思考が出てきてしまうということですね。
与えられた状況を、本当によく見て・聞いて・感じて、
よーく集中することで、「本物の感情」が湧き上がってくるのです。
この「背景」を本当に明確にすることで、
役でない本当の自分が持つ「緊張」「見られている」「やらなきゃ」という
「自意識」を制御することができるのです。
役を演じる上で一見邪魔になりそうな自意識ですが、
人に見られるお仕事ですし、台本ではここで泣くなどの指示もあります。
この自意識を味方につけることはできます。
これを、もう1人の自分を持つ「離見の見」といいます。
③役を自分のものにする方法論 <役のなりきり度95%>
さて。役についての情報を集め、背景を明確にしました。
ここまででは、やっぱりまだ「役の超超大ファン」なだけ
役を本当に理解するためには、
「実際に経験すること」が大事です。
例えば・・・
・自伝をかく
・台本にはかいていない別の時間の役の出来事を話す
(登場シーンの前後に何をしているか)
・他の役者の出番の時、自分の役が出ていない時を演じる
これをもって、役を明確にし、役の行動を理解していくのです。
例えば、
ピーターパンのお話で、ティンカーベルの役ならば・・・
ティンカーベルがなぜピーターパンのことを好きになったのか、
ピーターパンとティンカーベルの出会いのエチュードをすることで、
ピーターパンのことが好きな気持ち、
ウェンディに嫉妬する気持ちなど、
気持ちを理解し、
身体と心に落とし込んでいくのです。
最近、ドラマなどでもある、
エピソード0やスピンオフの物語のエチュードを行うという感じです。
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どうですか?役のなりきり度100%になりましたか?
ここからは、私の持論ですが、
どんなに背景を明確にしても、役のなりきり度100%にはならないと思っています。
役に95%近づくことは出来る。
でも、あとの5%は、お客様がつくるものだと思います。
お客様が見て楽しいと感じ・感動できる余白を残しておくこと
そのために、どう見えたら効果的かという、「自意識」は絶対に必要です。
先ほど、頭で考えると感じられなくなると書きましたが、
考えることと本当に感じることをほぼ同時に行うことが役者のお仕事ですね。
オンライン演技レッスンでは、
オンラインだからこそ、実践実践実践!ではなく、
「座学講習の時間」も多く行っています。
自分なりの「演技とは」という信念をしっかり持っておきたいと思いました。
通常レッスンが再開した時は、また、身体もしっかり動かして、
思いきり実践出来るようにしたいですね!
理論と実践。
両方から学ぶことで、学びが深くなる演技レッスン。
ぜひ、オンラインから、はじめてみませんか?
Rio
自粛終わりましたら、通常レッスンにてお待ちしております。