2024年総合型選抜試験問題
●朗読
広岡は矛盾に満ちた人物である。
失明の危険を背負ってでもリングに立とうとする黒木を止めるが、
その後、黒木が戦っている姿が見たいと自らも伴走することを決める。
「年寄りはめちゃくちゃなんだよ」というセリフで片付けるのだが、
このセリフは佐藤のアイデアから生まれたという。
「すみません(笑)。自己矛盾と、整合性のとれなさ加減。
実生活では多々あれど、映画の中であってはいけないことなんですよ。
本来、主役は絶対に見せてはいけません」
しかし、そこにあえて軸足を置き強調したのにはわけがあった。
「矛盾性こそが広岡の肝なんじゃないかと。確かに軽合性が取れていない。
それでも観客が腑に落ちてくれる。
成立させられるものがあるんじゃないかと思っていた」
それこそが徹底してリアリティーを追求し、
鬼気迫る演技で横浜らが見せた終盤のボクシングシーンだと言う。
(「「春に散る」に主演佐藤浩市矛盾が腑に落ちる瞬間 朝日新聞 令和5年8月18日(金))
●動作
次の内容をしぐさのみで表現してください。
〔設定〕
今日は郵便で、カードゲームのカードの抽選結果が送られてくる。
急いで帰宅してきた。
玄関前のポストを覗き見る。待っていた封筒が入っていた。
開封する。手紙を開くと、落選の文字が目に入る。
手紙をビリビリに破る。
ふと破いた一枚を見ると、
「後日、外れた方の再抽選がありますので、
大事にとっておいて下さい」と書かれてある。
破いてしまった紙片を封筒に入れる。
家に入って行く。
(そのまま退出してください)
上記の他、名前等を言う発声、800字の小論文、面接あり。
映画学科試験の攻略法
試験問題の傾向自体は、比較的読みやすくシミュレーションはしやすいのが、
映画学科の特徴です。
しかし、だからこそ過去問題に取り組んでこなすだけでもったいない!
●朗読攻略法
発声・滑舌・読解力はもちろんのこと
1番大切なことは「伝える力」です。
相手に世界観を伝えようとすることを意識しましょう。
そうすれば自ずと、緩急や間合いなどが生まれるはずです。
癖のない素直で明瞭な発声も見られています。
当スタジオからの合格者は、明瞭な発声を試験官に褒めて頂けたそうです。
声を作ったり、抑揚をつけつすぎてしまうことのないように、
基本の声の出し方・読み方を身につけておくことも忘れずに。
●動作攻略法
はじめてチャレンジする受験生にありがちなことは、
①指示された動作をやるだけでリアルに近づけすぎる
②大袈裟にやりすぎる
この2つで、たいてい①の受験生が多い印象です。
たしかに、映画学科の動作の試験は、日常がベースになっていますが、
テーマは、「日常の中にあるドラマ」です。
つまり、ドラマ性を見せるために、表情の変化、リズム感の変化を
どう演じるか・どう魅せるかプランニングする力も必要です。
言葉がない分、止まる・ゆっくり動く・早く動くなどの
身体を意識的にコントロールするレッスンも必要ですね。
演技レッスンをお考えの方はこちら